年頭所感ー父系制文化ではなく母系制文化を―村田元スイス大使のおススメの言葉

1月 1, 2016

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2016年 年頭所感 (村田光平元スイス大使のメールより転載)

内外で高まる東京五輪返上の声

平成27年12月31日

村田光平

福島事故は日本のDNAを傷つけたと言われる程の禍根を残しました。原発は、人類社会として到底受け入れることのできない惨禍をもたらすものであることを思い知らされております。福島の教訓は、そのような可能性をゼロにすることの筈です。そして、経済重視から生命重視への転換がその帰結の筈です。しかしながら現実には、反省もなく「放射能安全神話」の巻き返しによる福島隠しすら見られるのです。このままでは未来の世代は放射能被害の無実な犠牲者になってしまいます。

チェルノブイリ事故後ウクラウナでは放射能レヴェルが毎時5ミリシーベルト以上で移住の義務が生じ、10ミリシーベルト以上は強制避難の対称となるのに対し、日本ではなんと20ミリシーベルト以下は帰還できるとしているのです!事故当時18歳以下だった福島県人の甲状腺癌の発生率は全国平均の20~50倍に達していることが明らかになっております。子供たちを放射能汚染地域から避難させることは急務です。現地で500回を超えるインタービューを行った方から離婚してでも子供を移住させようという思いが母親の間につよくなっていることが報告されており、大規模な移住の動きがやがて始まると見られております。

2015年11月に発生したパリ同時テロ事件及び同24日に発生したウクライナのおけるクリミアでの送電線に対する破壊活動の結果、ウクライナにある原発2基への外部電源の供給に支障をきたした事件は、テロの対象になりうる世界の430基あまりの原発の存在自体が最大の安全保障問題であることを示すものです。さらに注目されるのは原発事故の増加です。マスコミは報じませんが11月にはレニングラード及びベルギーで事故が発生しております。 世界的な規模での原発事故はエントロピー増大の理論(世の中のすべての物体は時間とともに不確実さが増してゆくという法則。老化はその一例)から当然起こるべくして起こっているものです。脱原発は全世界の緊急の課題となりました。

こうした深刻な事態から目をそらせているのが東京五輪です。日本は事故対応に最大限の努力をしていないこと、先送りしていることがこれにより示されており、国際社会は不満を強めております。東京五輪返上により地球環境加害国の汚名返上を急ぐべきです。太平洋の放射能汚染は米西海岸の住民の健康を脅かすものとなっており、2015年12月4日付で米有力サイト「Counter Punch」は遂に現在国内で高まりつつある「東京五輪からの名誉ある撤退」を全面的に支持する記事を掲載するに至りました。

人類が直面する危機の真因は、世界中にあまねく広がった倫理の欠如です。未来の世代に属する天然資源を乱用して枯渇させ、永久に有害な廃棄物と膨大な負債を後世に残すことは、倫理の根本に反します。自然と世界の資源はもたらす結果についてはお構いなしに開発されているのです。倫理観、責任感、正義感の三カン欠如です。

縄文時代一万六000年余の平和を経験した唯一の国として誇れる日本は和と連帯を特徴とする母性文化の国です。明治維新後、軍国主義という形で競争と対立を特徴とする父性文化が導入されました。その結果敗戦に至り、歴史は父性文化が最終的には破局に通ずるものであることが改めて示されました。福島事故は終戦後導入された経済至上主義という別の形態の父性文化が招いたものといえます。和の母性文化は力の父性文化の治療薬です。力の父性文明を和の母性文明に転換することを目指す動きが始まっております。著名な ノーベル平和賞の候補に3度ノミネートされたScilla Elworthy 女史の「Rising Women, Rising World」設立がその一例です。この動きは女性の役割の強化の動きと結びつつあるのです。男性は仕事を、女性は生命を守るといわれますが、経済重視から生命重視への転換に女性が果たす役割の強化が期待されます。

パリ同時テロに象徴される世界の混乱を前にして、原点に立ち戻ることの大切さが想起されます。今こそ日本は地球倫理の確立、母性文明の創設及び民事、軍事を問わない真の核廃絶実現への貢献という日本の歴史的使命を追求する立場を鮮明にするべきです。困難に満ちた厳しい現実にかんがみれば楽観はできません。しかしながら、驕れる者久しからず、不道徳の永続を許さずなどの人力を超越した天地の摂理(哲学が救命する歴史の法則)こそ、人類と地球の将来に我々が希望を抱くことを可能にしているのです。

今年は東京五輪の返上及び福島事故への対応の本格化などに向けて大きな進展が見られることを期待しております。

 

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