反骨の平和運動家、村田光平元スイス大使の未公開インタビューを許可を得て特別公開

村田元スイス大使、オリンピック返上を力説

 

想像を超える福島の苦しみを忘れさせる不道徳な東京オリンピックからの「名誉ある撤退」を!!

 

2002年に出版された、元スイス大使の村田光平氏の『原子力と日本病』は、3・11以後に出版されたかと錯覚してしまうほど、福島原発事故を先取りした内容である。村田氏は外交官時代に培った知見を活かし、オバマ米大統領、潘基文国連事務総長、フランシス・ローマ教皇やIOCのバッハ会長など世界の要人に対してメッセージを送り続けている。

村田氏に福島原発の現状について話を聞いた。

 

東京オリンピックを返上せよ

―― 村田さんは3・11の遥か以前から原発に対して警告を発してこられました。なぜ原発問題に関心を持つようになったのですか。

村田 私が原発に関心を持つようになったのは、1986年にソ連のチェルノブイリで原発事故が起こったからです。私は当時、国連局の参事官を務めていました。事故の報道に接しながら、これは大変なことが起こったぞと思いましたね。

この時、ソ連当局は事故処理のためにおよそ90万人もの作業員を投入しました。事故発生直後には3万の軍隊も動員しています。それにより、事故発生からわずか7カ月で、「石棺」と呼ばれる、原発を覆うための巨大なコンクリートの建造物を作り上げました。

しかし、これはソ連だからできたことです。ソ連のような独裁的な国家だからこそ、強制的に作業員を導入したり、周辺住民を移住させることができたのでしょう。日本のような民主国家ではよほどの決意と指導力なしではほぼ不可能です。私はこの様子を見ながら、もし日本で原発事故が起こったら大変なことになるだろうと思っていました。

 

残念ながら、私の心配は3・11で現実のものとなってしまいました。安倍総理のIOC総会での事実に反する「アンダーコントロール」発言は世界を驚かせました。現在の福島原発の状況は収束からは程遠く、事態の悪化すら深刻に懸念されております。

例えば、東電は汚染水対策のために、原子炉建屋周辺の土壌を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土壁」を作っています。しかし、これは建設当初より、停電になったらどうするのかなどが問題になっていました。そして、まさに一時的だったとはいえ、7月28日に凍土壁の設備は電源を失いストップしてしまいました。

また、この時同時に、原子炉内に窒素を送り込む装置もストップしてしまいました。この窒素は水素爆発を防ぐためのものです。逆に言えば、これが限度を超えて止まってしまえば水素爆発が起こるということです。

問題は他にもあります。アメリカの原子力専門家であるアーニー・ガンダーセン氏は、実験の結果、4号機に格納されている燃料棒を覆っているジルコニウムは空気に触れると火災が生じると主張していました。そこで、3年に及ぶ院内のヒアリングで政府、東電関係者に対応策について問い質しましたが、何の備えもしていないことがわかりました。

幸いなことに、4号機の燃料棒は昨年末までに全て取り出されたため、最悪の事態は避けることができました。もっとも、同様の問題が1~3号機にもあります。これらは放射線量が高く近付けないため、手がつけられない状況にあり、4号機よりも事態ははるかに深刻と言えます。

私が最も心配しているのは、福島原発で再臨界が起きているのではないかということです。この点については、『週刊プレイボーイ』(5月4日号)が「CTBT(包括的核実験禁止条約)に基づき『日本原子力開発機構』が群馬県高崎市に設置した高感度の放射性核種監視観測システムには、昨年12月から福島第一原発の再臨界を疑わせる放射性原子、ヨウ素131とテルル132が検出され続けている」と報じています。また、水蒸気の放出や閃光など、再臨界を傍証するような現象がいくつも伝えられております。

実際に再臨界が起きているかどうかについては専門家の意見は分かれます。しかし、国民の間のパニックを回避するためにも、再臨界の有無を検証することは重大な緊急課題だと思います。世界にその必要性を訴えております。

―― 村田さんは原発事故について国際社会に対してもメッセージを発信し続けています。

 

 

村田 私は福島原発事故を含め、過酷な原発事故を解決するためには、国際社会の協力が不可欠であることが示されていると考えています。もはや一国だけでは事故を収束させることができないことは明らかです。

世界もそのことに気づいています。それ故、もし日本政府が国際社会の協力を拒み続ければ、福島が地球規模の破局に発展するのを防ぐために国際管理下に置こうとする動きが出てくる可能性を排除できません。極論すれば日本は、国際協力か国際管理のどちらの選択を迫られることになり得ます。

―― 7月にはIOCのバッハ会長にも手紙を送ったそうですね。

村田 私がバッハ会長に手紙を送ったのは、福島原発の現状に加え、東京オリンピックについて日本の世論が変化しつつあることを知らせるためです。例えば、7月12日放送されたテレビ番組「サンデーモーニング」で、コメンテーターの寺島実郎氏及び岸井成格毎日新聞特別編集委員が、オリンピックの返上に言及したと伝えられております。寺島氏のような影響力のある人物がオリンピック開催について不安を口にするのは初めてのことです。

今、日本がすべきことは、東京オリンピックを返上し、福島原発事故の解決に最大限の力を注ぐことです。仮に福島原発で再臨界が起きていることが検証されれば、再稼働もオリンピックも問題外となります。

これは私の持論ですが、天地の摂理(哲学により究明される歴史の法則)は不道徳の永続を許しません。現に、不道徳を象徴する新国立競技場建設は、白紙撤回に追い込まれました。想像を超える福島の苦しみを忘れさせる不道徳な東京オリンピックからの「名誉ある撤退」こそ、日本にとって唯一の、そして最も適切な選択なのです。

 

 

 

8月 19, 2015

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